<防衛交付金>使途ソフト事業にも 政府、法改正案提出(毎日新聞)

 政府は9日、米軍や自衛隊の施設を抱える市町村向けの「特定防衛施設周辺整備調整交付金」について、道路や学校建設などのハード事業に限っている使途を、医療費助成などソフト事業にも拡大する関連法改正案を閣議決定し、国会に提出した。同交付金は「事業仕分け」の際、「使途をより自由にし、使い勝手をよくすべきだ」と指摘されていた。

 政府は同交付金を、ジェット機が発着する飛行場や砲撃演習場、大規模弾薬庫など生活環境への影響が大きい「特定防衛施設」がある104市町村に支出しており、10年度予算案には139億円を計上している。法改正により、10年度から小学生以下の医療費や妊産婦検診費、福祉バスの運営費、学校の耐震化診断費などにも使えるようになる。【仙石恭】

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無償化…私立高、逆に競争率上昇 関西3府県で入試始まる(産経新聞)

 大阪、京都、兵庫の3府県の私立高校で10日、平成22年度の入学試験が一斉にスタートし、約13万2800人が試験に臨んだ。来年度から始まる公立高校の授業料無償化などの影響で「私学苦戦」も予想されたが、結果は3府県とも志願者数や競争倍率はアップ。私学関係者は「公立高の競争率が高まるのを警戒して受験生が増えたのではないか」と分析している。

 この日入試が行われた私立高校は大阪92校、京都37校、兵庫41校。各府県の私立中学校高等学校連合会によると、競争倍率は大阪3.44倍、京都3.3倍、兵庫3.51倍で、いずれも前年度より上昇。特に大阪は来年度、世帯年収350万円以下の生徒の授業料を実質無償化する府の独自施策が始まることもあって、記録が残る3年度以降では最も高い倍率となった。

 大阪市旭区の常翔学園では、早朝から塾関係者らの激励を受けた受験生が次々に試験会場の教室へ。緊張した表情で試験開始を待ち、合図とともに問題に取り組んでいた。

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<元厚生次官宅襲撃>小泉被告側、死刑回避求める 公判結審(毎日新聞)

 元厚生事務次官宅連続襲撃事件で、殺人罪などに問われているさいたま市北区、無職、小泉毅被告(48)は10日、さいたま地裁(伝田喜久裁判長)であった公判で「動物虐殺を法律で正当化している厚生官僚の大罪を絶対に許さない」と最終陳述した。弁護側は最終弁論で死刑を回避するよう求めた。公判は結審し、判決は3月30日の予定。検察側は死刑を求刑している。

 弁護側は「35年前に保健所に殺処分された(と被告が主張する)飼い犬のあだ討ち」は動機として奇異。妄想性障害による心神耗弱の疑いがある▽自ら豊かな人間性を押し込めようとしている−−と述べ、「裁判所が死刑を選択する最後の一歩を踏みとどまる理由はある」と訴えた。

 最終陳述で、小泉被告は「私は誰よりも心身ともに健康です」と大声で述べた。さらに「輪廻(りんね)転生を繰り返して、皆殺しにして無念を晴らしたい」と声を張り上げた。【飼手勇介】

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官邸主導人事、検察や宮内庁は除外…改正案(読売新聞)

 政府は9日、今国会に提出する国家公務員法等改正案を内閣府政策会議に提示した。

 内閣官房に「内閣人事局」を新設、省庁横断の「幹部候補者名簿」を作って官邸主導で人事を決めることなどが柱だ。

 検察庁などは適用外とした。12日に閣議決定する予定で、4月1日施行をめざす。

 名簿には、幹部職員や公募に応じた民間人らを対象に官房長官が行う「適格性審査」の合格者を掲載。この中から閣僚が省庁幹部を任命することを基本とするが、内閣全体で省庁横断の異動も含めた適材適所の人事を実現するため、首相や官房長官が閣僚と事前協議して人選するとの規定を設けた。官僚トップの次官と局長は「同一の職制上の段階に属する」とし、次官から局長への降格を可能にしたほか、局長級から部長級への降格も可能とした。

 検察庁、人事院、会計検査院、警察庁の幹部人事は「職務の特殊性に配慮」するとし、名簿に基づく一元管理の「適用除外」とした。「より中立性や独立性が担保される」(平野官房長官)との判断からだ。宮内庁と内閣法制局に関しては、名簿は利用するが、首相や官房長官との事前協議を義務づけない。

 適用対象外の幹部人事でも閣議決定を通じて政治判断が働く余地は残されている。それでも、小沢民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で民主党が一時、検察との対決姿勢を見せただけに、「民主党が検察人事で報復するとの憶測を打ち消す効果がある」との受け止めもある。

 ◆官僚の士気低下に懸念も◆

 同法案を了承した9日の内閣府政策会議では農林水産省出身の民主党の篠原孝衆院議員が「民間から(幹部を)持ってくるとか言うたびにまじめな役人がやる気をなくしている」と官僚の士気低下に懸念を表明。局長級から部長級への降格規定については経済産業省出身の同党の後藤祐一衆院議員が「制度上はあるが行使しない『抜かずの刀』にするのが権力の本質では」と注文をつけた。

 名簿掲載者は約600人で、年1回程度更新する。これを一元管理する内閣人事局は当初検討した人事院や総務省、財務省からの一部機能の移管を先送りしたため、職員55人体制で始動する見通しで、「出身省庁などが異なる600人もの能力や適性の判断には不十分」(省庁幹部)との見方もある。また、原口総務相は9日の総務省政務三役会議で「民間からの登用は各省官房がやればいい。新組織は作らない考えだったはず」と内閣人事局の新設そのものに異論を唱えた。

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【中医協】安全な麻酔管理体制を評価(医療介護CBニュース)

 厚生労働省は、2月3日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の総会で、常勤の麻酔科標榜医5人以上が安全管理体制を行っている場合に特定機能病院などの大規模病院が算定する「麻酔管理料(2)」の新設を提案し、了承された。

 ただ、麻酔科を標榜する常勤医師の確保を要件に組み込むことで、麻酔科医師の偏在を助長しかねないと懸念する声があり、診療報酬改定結果検証部会による検証対象に位置付けることになった。

 厚労省の改定案によると、麻酔管理料(2)は常勤の麻酔科標榜医5人以上による安全管理体制を確保し、麻酔医による監督の下、医師が麻酔前後の診察と麻酔手技を行った場合に算定できる。

 邉見公雄委員(全国公私病院連盟の副会長)は、「麻酔医、放射線医、病理医が少ないのが、日本の病院医療の一番のアキレス腱だ」と述べ、常勤の麻酔科標榜医5人以上の確保を要件にすることで、これらの医師の偏在に拍車が掛かりかねないことを問題視した。
 また、嘉山孝正委員(山形大医学部長)は、「麻酔科はユニオンを作っている。同じ業務をしていながらインカム(収入)が全然違う。こういう付け方をしても勤務医の処遇改善につながらない」と述べ、勤務医の負担軽減・処遇改善につなげる要件を組み込むなどの工夫を求めた。

■「検体検査管理加算(4)」の新設を了承
 総会ではまた、より充実した体制による検体検査の実施を評価する「検体検査管理加算(4)」の新設と、「外来迅速検体検査加算」の引き上げも了承した。

 厚生労働省の改定案によると、検体検査管理加算は、入院患者1人につき月1回算定する。
 院内検査を行っている病院と診療所に算定を認めるが、▽検体検査を専ら担当する常勤医の配置▽常勤の臨床検査技師10人以上の配置▽検体検査管理を行うのに十分な管理体制の整備-を施設基準に組み込むなど、診療所にとってはハードルが高い。厚労省の担当者は総会終了後、記者団に「(診療所による算定を)封じることはないということ」だと説明した。


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石川民主党衆院議員に対する議員辞職勧告決議案全文(産経新聞)

 政治資金規正法違反の罪で起訴された民主党衆院議員、石川知裕被告に対する議員辞職勧告決議案は次の通り。

 議員石川知裕君の議員辞職勧告に関する決議案

 右の議案を提出する。

 平成22年2月4日

 提出者

  川崎二郎 逢沢一郎

  漆原良夫 遠藤乙彦

  山内康一

 理由

 政治倫理の確立は議会政治の根幹であって、われわれは国民の厳粛なる信託を受けた代表として、両親と責任をもって政治活動を行い、いやしくも国民の信頼にもとることがないよう政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努めなければならない。

 しかるに石川知裕君は、衆議院議員小沢一郎君の資金管理団体である陸山会による土地購入をめぐり、平成16年の収支報告書に虚偽の記載をした政治資金規正法違反容疑で、本年1月15日に東京地方検察庁により逮捕され、2月4日に起訴されるに至った。現職国会議員の起訴は極めて深刻な事態であり、政治に向けられる国民の視線は厳しい。

 政治資金がどこから入り、何に使われたのかを公表する収支報告書に偽りの記載をすることは、国民に対する許されざる背信である。また政治家に高い倫理観と廉潔性が求められるなかで、本件は国民の信頼と負託にそむくのみならず、国会の名誉と権威を著しく貶(おとし)めた。かかる重大な違法行為が明らかとなったいま、政治に対する国民の不信を払拭し、立法府の自浄作用を示すためにも、石川君は自身の過ちを率直に受け止め、その出処進退に思いを致すべきである。

 よって本院は、石川知裕君が自ら潔く議員辞職し、その政治的道義的責任を明らかにするよう勧告する。

 以上が本決議案を提出する理由である。

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<将棋>谷川、三浦が首位 追う郷田ら4人 A級順位戦(毎日新聞)

 羽生善治名人への挑戦権を争う第68期名人戦A級順位戦(毎日新聞社、朝日新聞社主催)8回戦の5局が3日、東京・将棋会館と大阪・関西将棋会館で一斉に行われる。

 谷川浩司九段と三浦弘行八段が5勝2敗で首位に並び、郷田真隆九段、森内俊之九段、丸山忠久九段、高橋道雄九段の4人が4勝3敗で追う。残りは各自2局。8回戦で谷川と三浦は直接対決する。一方、1勝6敗で負ければB級1組への降級が決まる佐藤康光九段は、2勝5敗とやはり苦しい星勘定の藤井猛九段と対戦する。

 東京・将棋会館では3日午後7時から、鈴木大介八段らによる大盤解説会が開かれる。一般2500円。

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立春 各地でこの冬一番の冷え込み 都心で氷点下0.4度(毎日新聞)

 立春の4日、北日本から東日本の上空に強い寒気が流れ込んだ影響で、東京都心でも氷点下0.4度まで下がるなど、各地でこの冬一番の冷え込みとなった。気象庁によると、北海道では日高町で氷点下27.8度を記録するなど、4地点で観測史上最低を更新した。

 気象庁によると、▽栃木県鹿沼市=氷点下6.9度▽埼玉県越谷市=同5.7度▽前橋市=同4.3度▽千葉市=同1.1度−−などこの冬一番の冷え込みで、平年を2〜5度程度下回った。また、北陸地方は大雪となっており、新潟県では24時間降雪量が60センチを超えた所もある。

 5日以降も全国的に厳しい寒さが続く見込みで、北陸では大雪に警戒が必要だという。

 寒さの影響で、パンタグラフの凍結が原因とみられるトラブルが相次いだ。4日午前6時半ごろ、さいたま市南区南浦和2のJR京浜東北線南浦和駅に隣接する車両基地で、電車7編成が動かなくなった。同線の上下7本が運休、12本が最大15分遅れ、約1万3000人に影響した。

 4日午前6時35分ごろには、東京都北区東田端1のJR宇都宮線尾久−上野間を走行中の回送電車が加速できなくなり、運転を取りやめた。パンタグラフ凍結で十分な電流が流れなかったためとみられる。常磐線と高崎線の下り電車計2本が運休し、500人に影響が出た。【福永方人、山崎征克、堀智行】

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見逃されたSOS…両親からの虐待で死亡した7歳男児の阿鼻叫喚(産経新聞)

 パパにぶたれたけど、ママは見ても何も言わない…」。虐待のサインは“無視”された。東京都江戸川区の男児はわずか7年で生涯を閉じた。正座をさせられた状態で継父と実母に顔を繰り返し殴られた男児。学校や区も暴行の事実を確認しながらも、両親の「しつけ」という言葉に押し切られた。男児の悲痛な声はどこにも届かなかった。悲しすぎる。

■「食べるの遅い」 正座させて顔を平手打ち

 トタンのようなグレーの外壁に、茶色っぽい屋根。見るからに老朽化が進んだアパートは、風が吹くとカタカタと音を鳴らす。

 1月23日午後8時ごろ、このアパートの2階で区立松本小学校1年、岡本海渡(かいと)君(7)は正座させられていた。その小さな体を、電気工の継父、健二容疑者(31)と、実母の千草容疑者(22)が見下ろしていた。

 「ごはんを食べるのが遅い!」

 捜査関係者によると、2人はそんな些細(ささい)な理由から海渡君に約1時間にわたり暴行を加えたとされる。2人は海渡君を正座させたまま、顔を10回くらい平手打ちした。健二容疑者はさらに足を4、5回けりつけたという。

 「子供がぐったりしている」

 千草容疑者が119番通報したのは午後9時10分ごろ。海渡君は病院に緊急搬送されたが、打撲の痕などから不審に思った救急隊が110番通報した。通報を受けた署員が病院に駆けつけたとき、海渡君は心肺停止状態だった。懸命の救命措置でいったんは蘇生(そせい)したものの、翌24日午前7時ごろ、短い生涯を終えた。

 健二容疑者と千草容疑者が病院にいたため、署員がその場で事情を聴いたところ、2人は暴行の事実を認めたのだが…。

 「普段から食べるのが遅く、きちんと食べるようにしつけていた。今回もしつけの一環でやった」

 「日ごろからウソをついたり、素直に謝らなかったりしたときはビンタしていた」

 2人の口から出た言葉は、虐待する親の常套(じょうとう)句である「しつけ」だった。健二容疑者は「男の子だから、厳しくしつけていた」とも説明した。

 遺体の腕や肩、胸、足といったいたるところにあざがあった。背中には多数のやけどの痕も残っていたという。

 「比較的、古い感じの傷があった。長い期間、虐待が繰り返されていた疑いがある」

 捜査幹部はまゆをひそめた。

 警視庁小岩署は2人を傷害容疑で逮捕。司法解剖で死因は不明だが、同署は容疑を傷害致死に切り替えて虐待の実態を調べるとともに、病理検査で死因の特定を進めている。

■「もう殴らない」をうのみにした学校

 千草容疑者は中学3年の15歳のとき、海渡君を出産した。千葉県内の実家でシングルマザーとして育児を続けたが、母親に海渡君を任せて、千葉市内の飲食店で働くようになったという。

 その店に客として訪れていたのが健二容疑者だった。客と従業員の間柄から恋愛関係になり、千草容疑者は海渡君を実家に預けたまま、健二容疑者の家に住むようになった。昨年2月に入籍し、4月から海渡君を引き取って3人で暮らし始めた。

 「入学式のときだったかな。3人でおめかしして歩いていた。奥さんと海渡君は手をつないでいて、『記念写真を撮ってきたんだぁ』と喜んでいた」

 近くに住む女性はこう振り返る。3人で買い物をする様子もたびたび見られており、はた目には仲の良い家族にみえたという。

 だが、昨年夏ごろから状況は変わったようだ。

 近所の人たちによると、アパート付近で子供の「ギャー」という泣き叫ぶ声、男の怒声、ドスンという大きな物音が聞こえるようになった。

 「パパにぶたれた。ママは見ているだけで、何も言わない」

 「何も悪いことをしていないのに、ぶたれた」

 昨年9月4日、海渡君が近くの歯科医院を訪れたときだった。歯科医師の男性が足などのあざに気が付いて問いただすと、海渡君はこう打ち明けた。

 「自分の保護者である両親から虐待されていることを打ち明けることは、とても勇気のいることだ。それだけ、海渡君は追い詰められていたのではないか」(捜査関係者)

 歯科医師は同月14日、虐待情報を受け付ける同区の「子ども家庭支援センター」に通報。連絡を受けた松本小は、小原サナヘ校長(60)や担任教諭(28)らが17日に家庭訪問を行う対応を取った。

 その際、姿を見せた海渡君の顔はパンパンに腫れ上がっていたという。

 「うそをついたので、しつけの意識で殴った。二度と殴らない。男の約束だ」

 学校や区側は健二容疑者の言葉を額面通りに受け取り引き下がった。

 児童虐待防止法により強制立ち入り調査や被害者の一時入所などの対応を行う児童相談所には情報提供したのみ。具体的な対応を求める「通告」という手続きを行わなかった。

 「これで解決というつもりではなかったが、『二度とやらない』という確認をとっており、保護者との信頼関係があり、見守り続けたいということで…」

 同区の丸山みどり児童女性課長は当時のことをこう説明する。

 児童虐待に詳しい東海学院大学人間関係学部の長谷川博一教授(臨床心理学)は、こうした対応を厳しく批判する。

 「学校や区の対応が理解できない。『しつけのためにやった』という言葉は一番危険度が高いし、母親が虐待を止めようともしない時点で危ない状況だ」

 健二容疑者が「男の約束」という言葉を使っていたが、長谷川教授によれば、「よくも約束させたな」と、健二容疑者が海渡君に責任転嫁し、さらに虐待のリスクが高まった可能性もあるという。

■繰り返される連れ子の虐待死

 海渡君の欠席は家庭訪問後、目立つようになった。学校によると、昨年9月以降、「風邪」や「家の都合」、「頭痛」といった理由で85日の出席日のうち31日欠席した。10月には11日連続で欠席していた。

 それでも学校は虐待の可能性を疑わなかった。小原校長は「暴力を振るわないと約束していた。子供がもし、実際にそういうことに遭っていたのであれば、担任に話をしてほしかった」と釈明する。

 子供にそんな相談ができるだろうか。相談がなかったから、気づけなかったという学校側の対応は常軌を逸していると言わざるを得ない。

 海渡君のような連れ子が虐待され、命を落とすケースは後を絶たない。

 平成20年1月、妻の連れ子だった無職の長男(16)を木製のハンガーで殴打するなどして死亡させたとして、川崎市内の会社員の男(39)が神奈川県警に逮捕された。男は「言うことを聞かなかったので殴った」と供述した。

 昨年4月には大阪市西淀川区の小学4年の女児(9)が虐待で衰弱した状態でベランダに放置され、死亡した。保護責任者遺棄致死や死体遺棄容疑で母親(34)と内縁の夫(38)が大阪府警に逮捕された。内縁の夫は女児へ日常的に虐待を繰り返し、母親は黙認していたとされる。顔の傷を隠すために学校に登校させないこともあったという。

 連れ子のほうが一般的に虐待されるリスクが高いとされる。

 「連れ子を愛せず、自分の思い通りにならないと邪魔だと思って虐待してしまうことがある。実の親も再婚相手を失いたくないという思いや、自分に暴力の矛先が向くことへの恐れから、虐待に追随するケースもある」(長谷川教授)。

 繰り返される児童虐待。海渡君は事件数日前、近所の人に「お父さんからいじめられていないか」と聞かれたとき、「いじめられてません」と答えたという。

 健二容疑者に気に入られたいというけなげな思いだったのか、そのことが健二容疑者に知られたらまた虐待されると思ったのか。

 海渡君の遺体は千葉県内に住む千草容疑者の母親が引き取り、28日に葬儀が執り行われたという。

 健二容疑者は「子供が亡くなってしまい悲しい。やりすぎてしまった」と反省の言葉を述べ始めているというが、海渡君が死の間際まで味わった恐怖は「やりすぎ」では片づけられない。

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